知的財産、特許はメーカーにとっては極めて重要です

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1.知的財産、特許のメーカーに置ける重要性
知的財産権は、特許、実用新案、意匠、商標などを指し企業活動にとっては重要性が高いものです。その中でも、メーカーにおける知的財産、特許はその企業の将来を左右するほど重要な要素となっています。
会社の将来を掛けて、労力を費やして開発した新製品が、他社の特許に抵触していた場合には、他社から販売の差し止めを要求される場合もあります。使用権を売ってもらえてもその支払いは製品価格の3%と言った比率になる事が多く、利益を上げていても営業利益率が良くて5%程度と言われるメーカーにとっては経営を圧迫する結果となります。
さらに、自分達が考案した製品を差別化するポイントが特許で守られていなければ、競合他社に真似られて、せっかく開発した独創的新製品で他社をリードし、利益の源泉とする事ができなくなってしまいます。
中堅企業や大企業では、こうしたメーカーに取って極めて重要な知的財産、特許を経営資源と考え、それを高めるために知的財産、特許戦略を推進する部門を設けている事が多いものです。以降では、こうした部門の仕事の概要や、そこで働く人に必要なスキルについて考えてみたいと思います。

2.知的財産、特許部門の仕事
知的財産権、特許部門の仕事は製品展開、新製品開発に当たってそこに盛り込まれた差別化ポイントとなるアイディアを特許として権利化し守る事と、新たに開発した製品に他社特許に抵触している要素がないかをチェックしてトラブルを未然に防ぐ事です。
このために、製品開発のステップにおける初期段階で、この視点でレビューを行い、知的財産、特許対策が十分になされて居る事を新製品開発システムの中でトップの最終確認も含めて実施するように取り決めている企業が多いものです。
製品を開発する技術者をリードし、アイディアを特許化したり、他社の特許に抵触する要素がないかをチェックするのが知的財産、特許部門の基本的で最も重要な仕事です。
また、こうした活動以外に、知的財産、特許を製品展開のロードマップと勘案し、自社や他社の保有する特許を構成要素毎にマップ化し、他社が将来展開するであろう方向性を邪魔するためのアイディア特許を出願したり、自社の特許網で弱い部分を強化する出願を行ったり、より戦略的な活動も求められています。
さらに知的財産、特許は権利化し、それを維持するには費用が掛かります。その費用を抑えつつ、特許の有効性を最大限に活用する必要もあり、権利がある期間の特許であっても、すでに現製品には使われていない様な特許は維持放棄する等、定期的に権利化された特許をチェックし、経済性を追及する事も求められます。

3.知的財産、特許部門の仕事を担当する人に必要なスキル
知的財産、特許はやはり技術を理解し、技術者に準ずる製品構成に関連する知識がなければ務まりません。従って製品開発を経験させた後に、知的財産、特許の仕事を担当させる企業もあります。
この様に考えると、理系の人がやはり向いている職種と言えます。ただ、製品や技術開発を担当するエンジニアとは違い、知的財産、特許担当者は関連の法律などの知識も必要とされる点が特別なポイントです。
こうしたポイントを考えると、担当エンジニアほどの個別の技術に関する知識はなくても、少なくとも論理的思考ができる事は必須のスキルと言えるでしょう。
また知的財産、特許担当者は特許庁と直接交渉する事もありますが、大部分は専門の特許事務所の弁理士を通して行われます。すなわち、知的財産、特許部門の担当者は、自社の技術者や弁理士と技術内容に関してコミュニケーションを取る事が日常的に必要で、論理的に理解し、論理的に伝えるコミュニケーション能力も必要とされる職種と言えます。

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