事業企画の仕事と求められるスキル

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1.事業企画の仕事の概要
事業企画とは、経営層の経営方針や経営戦略を基に、具体的な海外戦略、マーケティング戦略、商品開発戦略などの実行計画立案をサポートしたり、それを遂行するための予算や目標値、実現の施策やプロセス、マイルストーンの設定などを行い、各実行部門の旗振り役を担う仕事です。
巨大企業では、各事業部門毎に経営トップをサポートする形で事業企画部門が設けられている事が多いものです。また中小企業などでは、社長の懐刀として上記の仕事や社長の特命事項を担う場合が多いものです。
また、事業企画に似た仕事として経営企画と言う仕事もあります。これは厳密に区分されずに同義で使用される場合もありますが、経営企画はどちらかと経営数値や経理面から経営トップをサポートするスタッフの仕事を指す場合が多いようです。
この事業企画の仕事の概要は先の通りですが、その主なものについて、以降で少し詳細に説明し、その中で事業企画マンに求められるスキルについても順次触れたいと思います。

2.中期事業計画の策定とフォロー
多くの企業は、経営理念を企業の最上位の考え方に持ち、それを踏まえてトップが経営の中期方針を示し、それを中期計画として3~5年スパンで立案し、この中期計画の各年度の実行計画として年次の事業計画を組みます。そしてこの事業計画に従って各部門が行動し、それを月次の販売や収支の側面からフォローすると言う計画体系を取っています。
この中期計画の立案をまとめ、毎年見直し、大きな差異が生じた場合には軌道修正などを提案するのが事業企画の大きな仕事の1つであり、ある意味定期的な仕事となっている企業が多いものです。
トップの意思を理解し、各部門毎の中期計画の整合性を図り、トップの意思を具現化できる計画に練り上げる必要があり、トップとの意思疎通が十分に計れている事と共に、各部門の仕事や利害に関して知識が必要であり、MBAで学ぶような知識と共に、各部門を理解し動かすための泥臭い現場の実態を理解する事も求められます。

3.新規事業計画の立案と推進
新規ビジネスを立ち上げるためには、既存事業として各部門がシステマチックに動いている企業の現組織体制や経営マネジメントでは上手く行きません。しかも新規事業の立ち上げ時には、ミドルマネージャーをトップとして推進する規模ですが、ラインのミドルマネージャーでは知識や経験の幅が狭く、任せられる人材が少ないのが一般的です。
こうした場合、経営トップが直接プロジェクトのトップとして関与し、実際は日常の意思の伝達やフォローは事業企画に担当させ、プロジェクトリーダーと事業企画の2人3脚での推進体制とし、そこにトップが直接働きかける体制を敷く場合が多いのです。
新規事業では様々な側面で課題が次々と生じるものです。新規事業に関与する事業企画マンは、そのリーダーの強みと弱みを理解し、弱みをカバーする事が求められます。またリーダーや事業企画マンでは解決できない場合には、トップの了解を得て社内の能力を持った人材に協力を仰ぐ事が出来ると言った社内の人脈や人材についても精通している事が求められます。

アライアンスや事業提携の検討と推進
自社にない資源を短時間に獲得するために、他社との提携による補完を検討する必要性も近年増えています。こうしたアライアンスや提携に当たっては、仕事の仕組みが自社とは異なる相手企業の分析を適切に行い、アライアンスや提携のメリットやデメリットを客観的に分析する事が必要です。
また実行するとなれば、分析したメリットを最大に、デメリットを最小となるように相手方とトップ交渉をして、実現の運びとなるのですが、その下準備として事業企画部門が、相手の同様の部門と調整を繰り返し、詰めを行うのが普通です。
この様に、事業企画部門は会社を背負い他社と交渉するという事が必要であり、事業を数値面から見る能力は基より、各部門の仕事に精通し、また業界全般に関する知識も必要とされます。

4.まとめ
以上の様に、事業企画は中期計画をトップの意思を体して各部門の計画の整合性を取ってまとめ上げ、それを定期的に見直す事が定期業務となっている企業が多いものです。
その他の仕事としては、ラインとして確立していない新規ビジネスなどのトップの特命事項にプロジェクトマネージャー的な役割を担うスタッフと言えます。
いずれも、企業の大きな方向性や大きなプロジェクトに関与する仕事が多く、重要な役割を担うものです。それを推進するために事業企画マンにはMBAで学ぶようなスキルと共に、多くのメンバーを動かすための実態把握能力と人間の魅力が求められると言えるでしょう。

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