企業のコンプライアンスにおける法務の仕事(役割)

企業のコンプライアンスにおける法務の仕事(役割)

コンプライアンスという言葉を理解していますか?

皆さんはコンプライアンスという言葉をどこまでご存知でしょうか。広く知られているのは、コンプライアンスとは”法令遵守であり法律を守ることである”という認識だと思います。確かにこれは間違っていませんが、コンプライアンスの意味を網羅しているかというと、そうとは言えないのです。

企業・仕事におけるコンプライアンスは法務関係の仕事とは切り離せないものです。ここでは、コンプライアンスの明確な意味と役割を紹介しながら、企業の法務という仕事がコンプライアンスに対して具体的にどのような存在であるのかを説明していきたいと思います。

コンプライアンスとは?

冒頭で説明した通り、企業におけるコンプライアンスとは”法律を守ること”を意味します。しかしこれは一面であるに過ぎないとも言いましたね。もし、企業が法律を守ることだけが求められている役割だとしたら、大部分の社員にはコンプライアンスはあまり関係がないということになってしまいます。つまりコンプライアンスには、他にも意味があるということなのです。

簡単に挙げると次のような概念です。 『企業倫理』・『社内規則』・『社会貢献』の遵守の3つで、これに法令遵守を加えたものがコンプライアンスの概念をより明確に表していると言えます。

これら3つを見るとお分かりの通り、法律を守ってさえいればコンプライアンスを遵守している、ことにはならないということです。
企業倫理や社会貢献とは一体どのようなことでしょうか?これらはつまり、企業が社会や消費者に対して持つべき“規範や理念、奉仕の精神”のことを指します。こうした姿勢を企業全体で実践していくことでそこで働く社員はもちろん、商品を使う消費者、その他利害関係を持つ人々との健全な関係を保つことが求められているのです。よく知られている例でいえば、大手小売会社が植樹活動を行い、環境に貢献しようと働きかけているのがそれで社会貢献の一つです。
ここまでは法律以外のコンプライアンスの概念について説明しました。しかし、なんといっても法令の遵守は企業におけるコンプライアンスの根幹となる部分です。その活動の大部分を担っている、法務という仕事から企業の法令順守について説明していきます。

企業における法務の役割

企業における法務の仕事とは、「企業の事業活動において生じる法律上の業務」をこなす役割を持っていいます。日本では毎年のように、企業の社員が関わる汚職や商品・製品情報の改ざんなどの事件が発生しているのはご存知かと思います。そして、こうしたトラブルと企業全体における法務の基本的な姿勢には3つの考え方があります。

臨床法務

消費者からのクレームや取引先とのトラブルなどに対して裁判を含めた方法で解決に務める。

予防法務

裁判に至る前(トラブル発生前)に弁護士に相談するなどして未然に予防する。

戦略法務

企業の戦略的動向(M&Aや知的財産権など)の流れと連動しながら、そこで生じる法的リスクを分析したり助言したりすることで企業全体を積極的にサポートする。

どの法務においてもおおむね弁護士との関わりは伴ってきますので、自社の知識とともに、法律に関する専門的な知識も必然的に求められることになります。
こうした役割とともに、企業の設立・運営・倒産、人事や労務、取引先との交渉などの役割もあるため、法務は企業の経営と法令遵守すべてに関わっていると言っても過言ではありません。そしてこうした多角的な方向から果たされる法務の役割によって、企業のコンプライアンス全体が支えられているのです。

法務はコンプライアンスを法律面からサポート

このように、企業のコンプライアンスを担うのは決して法務だけではありません。ただし、法務があるからこそ企業のコンプライアンスは守られながら安定的に実践されているのです。広義には、社内外の人間関係、社会全体と企業の円滑な関係を主に法律の面からサポートし、調和を進めていく役割が法務の仕事だと言えるでしょう。

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