クリエイティブ作業を統括する、代理店側の責任者

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●クライアントと制作サイドの橋渡し役

アカウントエグゼクティブ(AE)は、広告代理店やクリエイティブエージェンシーに在籍する、広告の統括責任者です。広告代理店にとって顧客であるクライアントとクリエイティブスタッフの間に位置し、クライアントの要求・要望を汲みながら、それに見合う広告物や企画の作成を統括します。

広告の作成現場におけるAEは、クリエーターというよりは営業職です。広告の制作には、クライアントからクリエーターを名指しで来るものの他に、他社とのコンペ(競合)を勝ち抜いて勝ち取るものまで、様々な形態があります。その全てについて、クリエーターの人選から予算、スケジュールなどの管理、もちろん制作物の品質にまで目を配るのがAEです。

AEは、クリエイティブディレクター(CD)と違い、実際の制作現場にはあまりコミットしません。その代わり、代理店やクリエイティブエージェンシーにおけるクライアントごとの顧客担当として、クライアントとのコミュニケーションが円滑に進むよう、各種の連絡・調整業務にあたります。

●クリエイティブスタッフの最終出世ポジション

広告におけるAEは、間違いなくクリエーターの最終的な出世目標となります。広告制作の現場からはやや離れたポジションとはいえ、AEは広告制作や媒体などについて多くの経験と知識を蓄えた人物でなければ務まりません。結果的に、コピーでもデザインでも、クリエーター時代に、その分野の仕事で一定の成功をあげた人物が長い年月の末に到達するポジションといえます。

AEは、一般的な企業であれば、最低でも部長級のポジションとなります。大手の代理店には何人かのAEが在籍しますが、その中でもクライアントや運に恵まれた人物が、クリエイティブ部門のトップとなります。「制作局長」や「クリエイティブ局長」と呼ばれる肩書きの人たちは、必ずAEを経験し、そこで勝ち残ってきた人物です。

●クライアントと、より密接に寄り添うAE制の動き

現代の企業では、サービスにしろ製品にしろ、非常に高度化したアウトプットがなされています。そのため、その製品やサービスに関する広告物の作成やキャンペーンなどを実施する場合には、クリエーター側に非常に多くの専門知識が求められるようになりました。これは、製品やサービスに関するものはもちろん、海外情勢や競合企業の動き、法的な取り決めなどに関するものまで多岐にわたります。

このような環境下では、広告出稿を計画するクライアント側でも、よりコストをかけず、最適なタイミングで広告出稿を行うことが難しくなりつつなります。クライアントがアウトプットしている製品やサービスがコモディティなものではないため、従来のようなコンペスタイルでは、広告やPR活動におけるクリエイティブのレベルや品質を整えることが難しいのです。

この環境に対応すべく、ここ何年かは広告における「AE制」の動きが注目されています。従来の広告は、1回の出稿ごと、あるいはキャンペーンごとに各広告代理店やクリエイティブエージェンシーなどがコンペに招集され、広告物を作成していました。しかし、これからは代理店側が担当するクライアントに特化した制作チームを形成し、そのクライアントに対する窓口としてAEを配置しだしました。

このような形態におけるAEは、従来の営業統括的なAEよりもクライアントサイドに歩み寄った、より専門的な特定分野に特化したものとなります。代理店側が特定のクライアントの広告業務に特化したクリエイティブチームを用意し、これが目先のみならず長期的な視点に立って広告の出稿を設計します。これによって、クライアント側は高い品質の広告活動を効率的に行なえます。もちろん、代理店側にもクライアントと安定した関係を築けるというメリットが生まれます。

さらに、このAE制には、人材の育成までを含めた、よりクリエイティブで効率的な制作環境を実現することが期待されています。

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