海外営業上の課題

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海外営業のタイプ

海外営業には、「国内の拠点から出張ベースで海外市場への営業活動を行うケース」と、「海外に拠点を置いてその国での営業活動を行うケース」があります。これはターゲットとする海外市場の規模や法律によって、現地での直系販売子会社、JV(ジョイントベンチャー)、販売チャネル等の可能性・有効性を検討した上での戦略的な判断によるものと言えます。その何れにも海外営業ならではの課題がありますが、ここでは「海外の現地に何れかの販売拠点が有り、そこに出向又は駐在しての営業活動」を前提と致します。

現地出向者・駐在者の担当業務

 海外の市場戦略として現地の販売チャネルを開拓した場合は、そのチャネルによる営業活動、即ち現地企業等への販売行為は、そのチャネルの販売担当者が行う事が基本になります。当然ですが、その販売担当者は、その国の言葉や商習慣を理解している現地採用者である事は言うまでも有りません。従って、日本から出向や駐在として派遣された日本人営業担当者の役割は、その「チャネルに対する販促活動や現地販売担当者の支援」がメインになります。勿論「現地企業への訪問による直接的なセールス活動」を行うケースもありますが、これは各国で事業展開をしている日系企業に対してや、共通の言葉でコミュニケーションが出来る国の場合が殆どでしょう。やはり、日本語、英語以外の言葉、特にベトナム語やミヤンマーの言葉で日本人駐在員がセールス活動を行うには大きな壁が有るからです。それを補う為に「現地の言葉が堪能な日本人」或は「日本語が堪能な現地の人」を営業アシスタントとして現地採用する企業も少なくありません。

チャネル支援上の課題

 何れにしても、出向や駐在として派遣された日本人営業担当者の重要な担当業務である、チャネルの販売担当者の支援にはいくつかの課題があります。これは東南アジアの或る国の場合ですが、やはり日本人とは仕事に対する考え方の違いがあります。そしてその違いには「なるほど」と思う納得性が有ります。例えば、雨天時に道路が渋滞して遅刻した場合には自分の非を認めません。自分は朝いつも通りに起床し、いつも通りに朝食を済ませ、いつも通りに家を出ているからと言います。幸か不幸か、お客様もそれに対して理解を示しますので、アポイントの時間に遅れてもその事情ならば大きな問題になりませんが、日本人のように雨で渋滞しそうだから早めに家を出る的な発想は少ないのです。 また、稀なケースにはなったようですが、所謂「アンダーテーブル」と呼ばれる金銭のやり取りです。30%の値引きで合意したビジネスを社内に持ち帰った直後に顧客の購買担当者から電話があり「値引きは20%で良いので10%相当は宜しく!」などです。最後になりますが、販売担当者の給与体系は、固定給の比率が少なく、売り上げに応じたインセンティブを多くするチャネルが多い事です。これは、売れている時は良いのですが、売れない時には生活苦になり、転職する者が増えます。結果的に、出向や駐在として派遣された日本人営業担当者が、一生懸命指導して育てた現地の販売担当者を失い、新規に採用して指導を繰り返す事になります。
これらが海外営業、特に現地販売チャネルを通した海外営業支援上の主な課題になります。勿論、国や企業によってその課題は異なりますので、あくまでも東南アジアの或る国では、とご理解下さい。

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