テクニカルサポートの品質

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「テクニカルサポートのサポート先」
 組織におけるテクニカルサポート部門(以下TS部門)とは、何らかのテクニカル(技術的)なサポート(支援)を担当する部門ではありますが、その直接的な支援先は事業分野や業種によって様々です。例えば、工業製品のメーカーであれば「製造部門に対する製造技術の支援」、各種機器の販売会社であれば「販売部門に対する販売技術の支援」や「保守部門に対する保守技術の支援」等になりますが、これらは皆同一組織内の他部門が支援先のケースです。一方では、JICAのように組織外、それも国外への技術支援を主とするケースもあります。そこで、ここでは「同一組織内の他部門への技術支援をするTS部門のサポート品質について」と致します。
「全てはカスタマーサポートの一環」
 TS部門の直接的支援先が、同一組織内の他部門であったとしても、それは全てその先のお客様、即ちカスタマーへのサポートに繋がっています。その例を挙げるとすれば、医療機器販売会社のTS部門は保守要員の技術支援がミッションではありますが、その支援を受けた保守要員による機器の定期点検や障害対応で業務を継続出来るのは、カスタマーである医療従事者なのだからです。そう言う意味で、TS部門による技術支援は、広い意味でのカスタマーサポートの一環であり、組織内の保守要員を通してカスタマーをサポートしているのだと言う認識を持つ必要があります。
ここで一つの事例をあげます。或る会社の保守要員がカスタマーのオンサイトで機器の修理中の事です。原因究明に手間取っていた為にTS部門に電話でアドバイスを要請しました。電話の向こうでTS部員が「何年やってるんだ!」的に怒鳴ったので、その保守要員は「すみません」と言いました。それを聞いていたカスタマーは不安が増し、「スキルの低い保守要員を派遣するな!」とコールセンターに苦情の電話を入れたのです。この例こそがTS部門要員のカスタマーサポート意識の欠如なのです。社外のカスタマーに対して謝っている保守要員に、社内の支援部門に対してまでもその場で誤らせるようなTS部門では、決して良いサポートとは言えません。
「もう一つの重要な役割」
 TS部門の役割は、保守部門に対する直接的技術支援、そしてそれを通しての間接的カスタマーサポートが有りますが、もう一つ重要な役割があります。それは、保守部門から得られる機器の市場での品質情報を「機器を作る側」に正しく報告する事です。それはR&D(研究開発)部門やD&M(設計製造)部門等へですが、販売専門会社であるならばその機器のメーカーサイドになります。これが機器の信頼性向上や次期新製品の性能向上に重要な役割を果たします。特に市場での安全問題発生についての報告は迅速に報告する仕組みと徹底が必要です。TS部門が保守部門を通してカスタマーをサポートし、その声(VOC:Voice of Customer)を聴くように、メーカーサイドは、TS部門、保守部門を通してからでしかVOCを聴くことが出来ないのです。その報告の品質もTS部門の大事な業務品質なのです。
以上の事から、TS部門の役割は「保守部門への技術支援を通したカスタマーサポート」と「市場品質情報のメーカーへの報告を通した機器の安全性・信頼性向上」と言えます。そしてそのサポート品質は、カスタマーによる「保守サービス満足度」と「製品満足度」で評価されるべきものであります。

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