生活相談員の定義と将来的な課題について

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皆さんは「生活相談員」という仕事をご存知でしょうか。福祉や医療に携わる仕事をされていない方にとってはあまり聞きなれない仕事だと思います。ですが実は、生活相談員は私たちの身近に関係する仕事であり、介護が必要な高齢者以外の人たちにとっても将来的にかかわる可能性の高い存在なのです。ここでは、その具体的な仕事の内容や、なるためにはどうしたらいいか、生活相談員を取り巻く現状と課題などについてご紹介していきたいと思います。

生活相談員ってどんな仕事?
冒頭で、生活相談員は将来的に誰にでも関係する存在である、と言いましたよね。これはどういうことかということを生活相談員の定義から説明していきたいと思います。生活相談員とは「主に介護や支援が必要だと認められた高齢者や障がい者の生活の援助や補助・指導を行うために、各介護事業所に配置が義務付けられているソーシャルワーカー」のことです。各介護事業所に配置が義務付けられている、ということはつまり、自分はもちろん、自分の家族、親族がいる方は将来的に誰しもがこの生活相談員と直接関わる可能性があるということです。
定義において少し専門的な言葉が多いので簡潔に説明しますね。まず、介護事業所とは、一般的な表現でいえば、老人ホームやデイサービスといった施設のことを指します。こうした施設内において、利用者や家族のニーズを把握したり、生活における課題の相談を受けたりするなどの様々な面からの援助の役割を担っています。なので、生活相談員は利用者が快適・安全に過ごすためには欠かせない存在なのです。配置が義務付けられているのも当然だと言えますね。同時にこうした役割を担っている人のことが総称してソーシャルワーカーと呼ばれています。では次に、生活相談員になるための条件について見ていきましょう。

生活相談員になるには資格はいるの?
こうした利用者やその家族にとって大切な役割を担う生活相談員ですが、実は「生活相談員」という専門の資格は存在していません。「生活相談員」とは資格の名称ではなく、職種の名称なのです。では生活相談員には誰でもなることができるのでしょうか。結論から言うと、それはYESでもありNOでもあります。これが生活相談員という職種の立場を曖昧にしている原因でもあり、今後の課題の一つともされています。(課題についての詳細は後述します)。さて、生活相談員になるための条件ですが、基本的には次の3つの内の資格の保有いずれかを満たしていることが前提となります。「社会福祉士」、「精神保健福祉士」、「社会福祉主事任用資格」の3つです。ですが、都道府県・自治体によってはこの資格がなくても、ケアマネジャー・老人福祉施設での施設長経験者・介護福祉士の資格・経験などを持っていれば認められるケースも多くあるようです。正確に言えばもっと細かく分けられることもできるので、生活相談員を目指されている方や興味がある方は、各自治体や施設などへ直接相談されることがもっとも確実に情報を手に入れる方法かもしれません。このように明確な任用ための要件が定められていないこと、自治体によって異なっているという実態からも、私が先ほど「YESでもありNOでもある」といった理由がお分かりいただけたかと思います。

生活相談員の課題と展望
どんな仕事にもその業務に関する課題というものは存在するものです。生活相談員も例外ではありません。生活相談員は明確に定められた専用の資格が存在しません。そしてこのことは、「業務の幅が定まらない(定められない)」ことにもつながるのです。たとえば、規模の大きな介護事業所では受け入れの手続き、相談や面談、ニーズ把握などのより専門的で事務的な仕事に従事することが多いようですが、小規模で勤務する場合は事情が異なります。人手が不足していると特にですが、利用者の介護に直接的に携わるような現場での業務が増えることになることがあり、業務もその分多岐に渡ることもあるようです。実践的な現場で得られるものも当然あるので、どちらがベストだとは一概には言い難いかもしれません。ですが、生活相談員が心身ともにより安定して業務に専念できるような環境を作ることは利用者とその家族にとっても必要な今後の課題であるといえるのではないでしょうか。
以上、生活相談員についてご紹介しました。

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